
当社は2009年の設立以来、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、デジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造の変革を推進してきました。
事業者の遊休資産(リソース)と顧客を直接結びつけ、最適な価値を届けるシェアリングモデルから始まった私たちのプラットフォームは、周辺領域へとM&Aや事業の多角化を通じて拡大し、現在では多くの企業の事業環境で必要とされる商品やサービスを提供するBtoBプラットフォームへと進化しています。
Quality Growthの実現と、それを支える事業の強み
2022年7月期からは、利益とキャッシュ・フローを伴った成長モード(Quality Growth)へと移行し、「売上総利益成長と継続的な収益性改善の両立」を経営の中核に据えてまいりました。CEO就任から2年が経過し、このQuality Growthは着実に実行され、EBITDAは2022年7月期から3年間で約3.7倍に拡大しました。
高いトップライン成長を維持しながら収益性改善を両立させたことで、営業キャッシュ・フローは飛躍的に増大しています。この潤沢なキャッシュが、オーガニック成長を加速させるためのマーケティング投資や、非連続な成長を実現するM&Aといった、さらなる成長投資の原資となります。そして、その投資が再び成長と利益を生み出す。私たちは、この「成長の好循環」を確立しており、今後もこのサイクルを回し続けることで、持続的な企業価値向上を追求してまいります。
これまでこの成長を実現し、競争優位性を築いてきた背景には、以下の要素があります。
第一に、レガシーかつ巨大な市場機会です。私たちの事業領域は、未だ属人的な取引が中心であり、デジタル化やソフトウェア導入による変革のポテンシャルが大きく残されています。
第二に、その市場で築き上げた強固な顧客基盤とブランド認知です。100万を超える中小企業の顧客基盤は、我々の事業展開における他に代えがたいアセット(資産)であり、高い認知度をレバレッジすることで、新たな事業領域においても効率的な展開が可能になると考えています。
そして第三に、これらを実行するためのユニークな組織・テクノロジー基盤です。テクノロジー、マーケティング、オペレーションという3つの機能を複合的に有する組織力があるからこそ、伝統的な大企業や純粋なソフトウェア企業では参入が難しい領域で、私たちは独自の価値を創出し続けてきました。
オーガニック成長を加速させるM&A・提携
私たちの成長は、これらの強みに支えられたオーガニック成長をベースとしてきました。そして、その成長サイクルをさらに加速させるため、私たちはロールアップ型のM&Aモデルを組み合わせています。グループに加わるサービスや製造能力を組み合わせ、非連続な成長を実現することが目的です。また、M&Aをして終わりではなく、グループにジョインいただいた会社とはビジョンを共有し、当社の持つケイパビリティを最大限に活用しながら、共に成長していくことを最も重視しています。このM&AとPMIの実行能力も、当社の成長の原動力です。
End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するプラットフォームへ
今後のラクスルはこれらの強みを基盤とし、「End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するプラットフォーム」に進化していきます。
テクノロジーをベースに、モノやサービスを扱う「トランザクション」を深化させつつ、業務プロセスに入り込む「ソフトウェア・BPO」、そして「ファイナンス」の3つの事業領域を一つの共通IDのもとで連携させ、中小企業の経営課題を網羅的に解決するエコシステムを構築していきます。それが、私たちの今後の方向性です。結果としてお客様のLTV(顧客生涯価値)が向上し、積み上がる収益構造を強固なものにしていくと考えています。
持続的な企業価値向上のために
これらのすべての戦略を実行し、価値を創造するのは「人」です。
当社にとって最大のアセットは従業員であると考えております。多様な人材が挑戦できる組織文化の醸成と、競争力のある報酬・育成投資に今後も注力してまいります。
また、私たちのビジョンは社会をより良くしていくことを内包しており、事業活動そのものがサステナビリティの実現に資するものであると信じています。サステナビリティに関する当社グループの取り組みはこちらをご覧ください。
今後も、企業価値を高めていくパートナーであるステークホルダーの皆さまと同じ船に乗り、ともに社会構造を変革していくことを目指します。引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。
ラクスル株式会社
代表取締役社長 グループCEO 永見 世央